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どのくらい眠っていたかわからないけれど、気がついたらベッドの上で仰向けになっていた。とにかく、体が重くだるくて一日の大半を眠って過ごしていたようだ。もちろん体を起こす事もできない。食事もできないので点滴の管が腕からのびていた。頭の右側の前部が鈍く痛む。そして左肩から腕にかけてまるで自分の腕じゃないように重かった。左手を動かそうとしてもぴくりとも動かない。頭が混乱してどうも状況が理解できない。はじめ手の動かし方を忘れてしまったのかと思った。しかし、そうではなくて後から看病に来た嫁に教えてもらったところによると、モヤモヤ病による右脳出血に伴う左半身麻痺で左手左足の運動機能を失ってしまったらしい。モヤモヤ病は特定疾患や難病に指定されている恐ろしい病気だが初めて聞いた時には冗談みたいな名前の病気だと思ったし、そんな病気とこの手足が動かない事がどうしても結びつかなくて頭が混乱するばかりだった。ただ状況を正しく把握できないので事態を明らかに軽くみていたことは確かだ。
早く良くなって作りかけの竹のベンチを完成させなければ。とか ホームセンターに行って彫刻刀とクランプを買ってきて山で山桜の木を切ってきてサラダ用のスプーンを作ろうとかんがえてたり、 消防の共済の推進にあと何件か回らなければ集金日にまにあわないなぁ。などと考えてたり、今思うとかなり能天気なことを考えていた。その頃は事態の深刻さに気づかずにすぐに治ると思っていた。 電動ベッドで体を起こして自分でお粥を食べるようになったのはいつ頃からだろう。喋るのも相槌を打つのさえしんどくて夢と現の境をずーっとさまよっていた気がする。寝ているだけなのにとにかく疲れるんです。集中力がなく、込み入った事が考えられない。活字なんかを読むのは無理でした。嫁と父母そして妹が交代で看病に来てくれるのですが自分から話しかけることはありませんでした。その頃はまだ面会謝絶で家族とごく近しい親戚だけしか面会できませんでした。子供とも会いたかったのですが風邪やインフルエンザを持ち込むと大変なのでNGだったようです。12月に入ってから看護婦さんがエレベーターホールで子供たちに会えるように特別にはからってくれました。約1ヶ月子供たちと会ってなかったので感動してしまって、顔を合わせる前から涙でぐしょぐしょになっていたのですが、意外と子供たちは反応がドライでちょっとがっかりしました。 そんなこんなで頭痛も治まり、少しずつ体力もついてきたのでリハビリ科のある病院に転院することになりました。
by semenatu
| 2010-07-06 02:11
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