図書館から借りてきた中野剛志という人が著した「TPP亡国論」という本を読んでいたら、「平成の開国」というキャッチフレーズでTPPを推進している民主党政権は幕末の開国論者と鎖国・攘夷論者のイメージを上手く利用していると書いてあった。
なるほどと思った。いつもTPPに関する論議を聞いているときに残る胸のモヤモヤの正体はこれだと思った。
少なくとも自分はTPPの中身など少しも知らないくせに「開国」と言われるとなんとなくTPPに参加したほうがいいんじゃないかと思ったり、TPP反対運動をしている人たちが何となく因循姑息な守旧派に見えてしまうのは開国論者の勝海舟を奸物であると斬りに行った坂本竜馬が勝から世界情勢を聞かされ、自分の無知に気づき、そのまま勝の弟子になってしまったというエピソードが頭の隅に引っかかっていたのだと思う。誰だって自分を投影するなら勝海舟や坂本竜馬の方が気持ちいいもんね。だから本来参加か?不参加か?の議論のはずなのに僕たちの胸に届くときにはいつの間にか鎖国か?開国か?のイメージにすり替わっているのだと思う。